平板チャネル内流動の計測

チャネル乱流とは上下を無限に長い平板に挟まれた統計量に二次元を有する乱流のことである.本実験装置は流路断面を横長の長方形断面に設計することで流路中央部に二次元性を確認している.

平板チャネル流路 計測区間外観

本流路では下図のようなスポンジのように多くの連結した空孔を持つ多孔質材料(以下,多孔体)を用いてその界面部における乱流のPIV計測を行っている.

発泡セラミック多孔体

多孔体を特徴づける基礎的なパラメータ

  • 空隙率  :単位体積当たりの空孔の割合[-]
  • 透過率  :多孔体内部の流体の流れやすさを表す指標[m2]
  • 平均ポア径:多孔体内部に存在する空孔(ポア)の平均直径[m]

 

PIV計測

本研究では流れの可視化手法としてPIV(Particle Imege Velocimetry: 粒子画像流速測定法)を採用している.
PIVの流れは以下の通りである.

  1. 作動流体に,粒子を入れる
  2. レーザーを照射し粒子の散乱光(または,蛍光)をカメラで撮影
  3. 連続して撮影した2枚の画像を解析し粒子の移動量と撮影間隔から速度を算出

 

 

PIVにより得られた面内速度分布(青)(流れは左から右,画像内赤が誤ベクトル,緑は補間ベクトル)

 

研究背景

燃料電池ガス拡散層(GDL)内カーボンペーパー

本研究では工業製品において非常に基礎的な流れである壁乱流を対象にしている.ここでいう壁とは,すなわち工業製品の外表面及び内部に流体が流れる場合は流体接して流れる表面のことであり,自動車のように非常に滑らかな表面(滑面)の場合もあれば,さびや汚れの付着によりその表面に粗さが生じることもある.また固体高分子型燃料電池(PEFC)内のガス拡散層(GDL)に用いられるカーボンペーパーのように透過性(浸透性)を持つこともあり壁の形状は様々である.特に透過性を有する材料として多孔体が挙げられるが,多孔体は構造上比表面積が大きく,熱物質輸送や化学反応促進という点で優れているため上図の燃料電池ガス拡散層や自動車の触媒反応体など工業的なアプリケーションは多岐にわたる.また植生キャノピーや都市キャノピーも巨視的に見れば多孔体と考えることができ,多孔体界面の乱流現象への理解が工業的な観点からだけでなく環境工学の観点からも求められている.そこで本研究室では十分二次元性が確認されている流路を用いて多孔体まわりの乱流現象の解明に取り組んでいる.

 

 

 

現在の研究

工業製品に用いられる多孔体は常にその表面構造がフラットになっているわけではなく不規則な凹凸が存在することがある.とくに上に示したカーボンぺーパーのような棒状の材料の組み合わせからなる多孔体はその傾向が現れやすい.そのため多孔体周りの乱流現象をより詳細に理解するため表面構造に粗さを有する多孔体界面乱流の特性を理解することが必要である.そこで現在,正方形断面のアクリル角棒を接着した多孔体の界面乱流を対象にその表面構造の粗さや壁面の透過性が流れ場に与える影響を議論している.

 

既往の研究

これまでに行われた研究とその結果を簡単に紹介する.

①等方性多孔体の界面乱流のPIV計測

多孔体界面の乱流挙動の解明のために多孔体としての扱いが容易な等方性多孔体を用いた計測を行った.等方性多孔体とは透過率が方向によらず等しい多孔体のことである.本計測で用いた多孔体は3種類で空隙率が等しくし透過率が異なるものを用いた.

等方性多孔体(左の空孔が小さいものから順に#20, #13, #06)

結果:多孔体の透過率が増加するとともに壁面垂直方向の乱れが増加

②非等方性多孔体の界面乱流のPIV計測

多孔体のどの方向の透過率が界面乱流に影響を与えるかを調べるために方向により透過率が異なる非等方性多孔体を自作しその界面乱流のPIV計測を行った.多孔体には樹脂製の工業用ネットを積層・接着した自作の多孔体を三種類用いその一つは壁面垂直方向の透過率を極端に大きくした.

EVA樹脂製ネット(N-523, タキロン社)


自作多孔体概略図(上:上から見た図,下,横から見た図)

結果:壁面垂直方向ではなく主流方向の透過率が増加するとともに乱れが増加