研究室の歴史

研究室の歴史

当研究室の歴史は,1949年の大阪府立大学の前身である浪速大学当時の 田伏敬三教授に遡ります.田伏教授は,流体機械では非常に有名な方で,特に,大阪府立大学紀要(Bulletin of Osaka Prefecture University, Sr.A,8,1959)に掲載されているポンプの設計に関する論文は,多く引用されている優れたもので高く評価されています.田伏教授は,現在日本で使われている流体機械に関する多くのハンドブックの執筆者の一人です.

その後,1963年に 宮井義弘教授が正教授になられました.宮井教授の主な研究分野は,翼まわりの遷音速流れで,世界ではじめて,その流れを理論的に厳密に解かれた論文は有名です.また,宮井教授は風洞を設計製作されました.この風洞は,いまでも研究室で稼働中で,ゲッチンゲン型,断面積は 1m×1.5m で最大風速は約 20m/s です.

1987年には 木田輝彦教授が正教授になられました.木田教授は特異核を持つ積分方程式をベースとした漸近解析理論と渦法をベースとした新たな数値解析手法の開発等に従事されました.特に,漸近解析理論では,Fredholm型の積分方程式の核函数から特異摂動理論で重要となる局所領域を決定するための系統的な手法を提案され,平板後縁近傍流れのトリプルデック理論,極低レイノルズ数流れの非定常解析等に適用されています.

そして,2004年からは流体工学研究グループに京都大学ご出身の高比良教授が教授になられ,従来の流れとは一線を引き,新研究室にてマイクロバブルやキャビテーションに関する実験,混相流の数値解析など,主に気泡力学を対象として大変活発に研究されています.

その結果,これまで,機械工学科第2講座として多くの学生を輩出してきましたが,本研究室は木田前教授のご退官と同時に,大阪府立内としての旧機械二講座としての研究室の流れとしては途絶えることが確定となりました.

1993年の工学部改組により,エネルギー機械工学科熱流体・動力工学講座(大講座)流体工学研究室となり,その後の頻繁な改組を経て,現在は機械系専攻機械工学分野熱流体・動力工学講座の一部として, ACVやWIGの研究を流れのもと,現在にいたっています.

また,当研究室の教員であった先生方からは,多くの有名な教授方が生まれています.元工学部長で本学の名誉教授で,境界層と乱流の分野で著名な飯田教授や,元大阪大学の教授で,流体機械分野で著名な村田教授,流体機械分野の電通大松永教授や,希薄気体の力学分野で著名な鳥取大学大西教授です.また、近畿大学理工学部の安富善三郎教授はエアクッション技術に関する研究で著名です. 楠井健先生鳥居脩先生,村上先生, 仲谷仁志先生, 山田哲也先生,もまた,当研究室出身であり,それぞれの研究分野で活躍されています.

本研究室出身の大学関係者には,島根大学の 林隆一名誉教授,元滋賀県立大学の 武隆教助教授(平成13年退職),摂南大学の 倉田光雄名誉教授, 植田芳昭先生がおられ,それぞれの分野で活躍されています.