ゼロから始める FreeCAD (3/4) FreeCA で分割保存したモデルを Xsim で読み込んで設定してみる
前回作成した、分割 STL をつかって、とにかく一度 Xsim に読み込ませて先に進んでみます。
Xsim を開始するのは、まず、プロジェクト名を入れて始めます。
この手順は説明ページにあります。
このウインドウに、ドラッグするなり、ファイルダイアログ開くなり、トータル5MB以内ならアップロードできるそうです。ということは、小さめにモデルを作っておく方がいいってことなのかも。どうせメッシュはこのアプリで切るんだから?
さて、ここで少し問題があります。このソフトの設計者はきっと純プログラマ、ISOの一般工学の信者です。え、それが何が悪いんですか?機械系の人間の行動パターンは、形状作成は普通、CADを使用します。ではその単位は?ISO準拠でメートル単位。違います。機械系は計算はmksですが、図面は mm です。そこで、アップロードしたファイルについて「大きさの修正」が必須です。ちょっと面倒です。機械設計的にいけば、重心中心のデフォウルトも面倒です。「原点中心」に変更、「0.001 : mm → m」でとにか変換する必要があります。
その後は、自動設定されるところはもうそのまま信じて先に進みます。
流体密度の設定はわかります。
境界条件などは、設定すると、青い四角い箱になってどんどん増えていきます。それらがうまくいってると、右に、矢印などで流れの条件が表示されます。同じ面グループを二重指定できないので、修正するときは、青い四角を一旦削除して、設定し直します。
何もしなければ全部スリップ壁になるらしいので、未設定でエラーになる確率は低くくなるように考えられているようです。欲しい計算ではないかもしれませんが。
裏返せば、流れの設定はしっかりしなければなりません。面(のstl)を選択すれば、速度が設定できますが、グラフィカルな表示から一変、ペクトルの数字設定です。まだ速度はよいですが、領域の座標設定は、このツール内では数値の目安もないので性格に設定するのは難しそうです。座右に手書きのマップが必要そうです。詳細にはどうすればよいは今はよくわかりません。やらなくてもなんとかなりそうです。
境界条件や流入、流出条件を設定し終わると、なんとなく入力状況が表示されます。
ところが、特に気になるのは、流入流出条件ですが、表示スケールの関係で、流速が小さい場合は、モデルの単位との兼ね合いで矢印が小さいようです。ただし、「自然流入出」や「静圧指定」などで設定すると、しっかり矢印が表示されるようなので、流速指定で流入出を指定したとき、矢印が小さいようです。当初、設定ができていないと思いましたが、「自然流入出」に変更すると両矢印が表示されました。そこで、流速設定した面をよく拡大してみると、中心に白い点(黒丸内)が確認できました。
そこで流速値を2オーダーくらい大きく表示すると、ようやく矢印が表示されました。
設定にエラー表示がなく矢印が確認できない場合には、仮に値を大きくして、矢印が表示されるか確認するとよいかもしれません。矢印表示の大きさを模型スケールも考慮して、流速値で対数的に決定してくれるとこんなことも減るのでしょう。
最後はエクスポートすると、OpenFOAM 用のファイルセットが出力されます。
なお、このWEB base ツールは、OpenFOAM上流のメッシュを切るための設定ファイルを生成することが目的なので、このソフトでメッシュが生成される訳ではありません。だから当然ながらこのツール上ではメッシュの確認はできません。
したがって、吐き出されるBATの実行でそれらの作業が行われるので、最終的には PARAview などのアプリを使ってメッシュを可視化する必要があります。
実際に使った感想
OpenFOAM の DICT ファイルの基本的な形式は、わかっていても、計算モデルの形状に手動で合わせられるのは、せいぜいチュートリアルの cavity くらいまで、というのが気持ちです。その点、とりあえずモデルを作って stl に分割してアプロードすれば、それらの dict ファイル群を作ってくれる XSim は初心者にとっては大変ありがたいツールです。
ただし、設定項目はおそらく必要最小限にして、ツールの中で宇かく処理されているのではないかと思います。 それでも、非ニュートン流体や、回転物体、非定常流れなど、多少複雑なものにも簡単に対応してくれているようです。
まだまだ使い勝手がわかりませんが、使用してみて遭遇したトラブルを羅列しておきます。
- ファイルアップロード
ファイルアップロードは一方通行のようです。一旦アップロードしたファイルを削除することができないようです。したがって、間違った形状をアップロードしてしまうと、境界条件がややこしくなります。諦めてプロジェクトを作り直し、しかないかもしれません。
- ファイルアップロードは戦略的に
FreeCAD で stlファイル群ができてしまうと、私なんかは喜び勇んでまとめてアップロードしてしまいます。しかし、XSim は一応、形状確認ができます。だから、stlファイルは、一つずつアップロードして、サーフェイスが抜けていないか見やすい順を考えて、確認するのが良さそうです。アップロード時点で、初歩的なサーフェイス抜けを見つけられれば時間短縮できます。
- 形状から流体が漏れる
なぜかわかりませんが、完璧に作ったつもりのモデルから、流体が漏れて、内部流れのつもりが内外流れ(領域を自動で直方体に囲まれた中荷モデルがある流れ)になってしまいました。流線等を見ても、サーフェイス抜けがあるわけではありませんでした。まさしく、サーフェイスの継ぎ目からにじみ出ていました。なので、メッシュの、荒さ、パネル数を調整してみたら、解決しました。 - FreeCADで、フェイスバインダーでサーフェイス選択がうまくいかない
二次元流れモデルの時、厚みを極限まで薄くすると、それらのパネルを選択するのが面倒な状況になります。パネルなのか、エッジなのか、拡大縮小を繰り返して。そういう場合は、とりあえず選択しやすい面で一旦、フェイスバインドして終了し。そのフェイスバインド要素をダブルクリックして、さらに要素の追加削除をする方がミスが減ります。
メッシュ:体積メッシュ設定
目標 8000/ レイヤーメッシュ 厚み比 0.3 総数 3
基本設定
非定常/ 300秒 / 時間ステップ くー乱数による自動設定解除で時間感覚1秒
物性:空気
初期条件:速度 0.03 m/s at x
計算設定
標準数値スキーム / 安定性重視 / 緩和係数 速度 0.5 , 圧力 0.2, 乱流エネルギー 0.2, 乱流散逸率 0.2