ゼロからはじめるParaView — [06] 物体周りの流れ場の実例(円柱)

ある程度必要最低限の使用方法がわかってきたので、ちょっと切り口変えて整理していきます。

今回はこんな図(左側)を作ってみる、というテーマ。

流れ場によくある要素。

  • 圧力場
  • 速度場
  • 流線場
  • 渦度場

これらを重ねても雰囲気がわかるような図を考えて、作成してみます、、、雰囲気、ここがポイントかも。

導入

例えば論文などでは、厳密な数値の二次元分布を示したければ、きちんとした平面図に、物理量は各個、単独で、しかもグラデーションではなく、区分色、あるいは境界には明確な曲線を使ったコンターズが必要です。三次元空間であっても、それらの複数で構成された図が最適のように思います

しかし一方で、プレゼンテーションで、流しながら制限時間内で上方を強調して伝えるための図も、一方で有意義です。

最近はこれらが混在して、論文でもなんとなくの雰囲気も伝わらない図もよく見かけるような気がします。多分端からそういう意図で掲載されてるのだと思いますが、図の20%以上を占めるかと思われる矢印が混ざった速度ベクトル図などは、その迫力は圧巻です。

つかみはこのあたりにして、冒頭のようなグラフをParaVIEW で作成してみます。

趣旨(コンセプト)

  • 各物理量を表す色を見分けられる
  • 各物理量の代表値を基準にする
  • 各物理量の変化については、基準値よりも大きいか小さいかを強調する

作戦(デザイン)

  • 三つの物理量を、基準値と、それより大きい値、小さい値の三色で表す必要があるので、8~9色を選定する。
  • カラーバーで表示するが、基準は無彩色系、そこから外れた場合はオン、オフに近い表現とすることで強調する。
  • 流線についても速度の大きさを同様の表現とするが、線上にあるため配色は重複を容認する(別に区別してもよい)。

実装(インプリメーション)

操作の前の初習者あるある。

Windows でマウス操作でプロパティを自在に移動するとき、トラッカーで上下に移動させるときは要注意。ポインターが選択メニュー等の上を通るときに、勝手にプルダウンメニューを開いた上に、選択項目を変更しながら、プロパティを移動していきます。日頃触らない項目の選択肢がわからなくなったり、設定値が変更されていたりと、災難に見舞われます。移動は極力サイドバーをクリックしてドラッグするか、サイドバーから外れないようにトラッカーを動かすのが肝要です。ポインターを超スラロームで選択枠かわしながら操作できれば別ですが。見慣れないものが突然現れたりしたら、それが原因です。

フィルターを使用するときに、何気なく追加すると、表示される、と期待したものが全く出ないとき。その場合は大抵は、モデルツリーの、前作業のフィルターに重ねて新たにフィルターをかけたときの可能性が大です。なれれば意識しますが、片手間に作業しているとうっかり入れ子にフィルターかけてしまうことも。久しぶりにやるとしばらく固まったり、連 Apply したり、恐怖におののいたりすることになります。新たに何か表示させるときは、意識してモデルツリーの大本を選択してから、フィルターアイコンなどをクリックすることです。よそ見厳禁。

  1. 読み込む。Apply。
  2. 二次元の流れ場の場合は、プロパティ下の方の、Camera Parallel Projection にチェックを入れとく。これで透視図法を解除。
  3. ついでに背景色も黒にしとく?
  4. StreamTracer アイコンで流線を書かせる準備をする。
  5. Apply のまえに、Seed の座標 Line Parameter とResolution を 50 – 100 位に調整する。
  6. ここで、円柱の場合のおすすめは、以下の図のような4本のラインです。
    1. 円柱中心やや後方を流れに直交する線ソース(Res.=80位)
    2. 円柱後半部中心から 0.8R 位の外側位置から、円柱後方 3D 中心軸から 0.4R 位の位置までの線ソース、対象に各1本ずつ2本(Res.=15位)。
    3. 円柱後方外部中心軸近傍に、円柱から 0.2R 位に流れと直交して長さ0.3D 位の線ソース(Res.=7位)
  7. Apply
  8. Apply するとカラーバーの設定が出来るようになります。
  9. メニューバー下の物理値選択のボックスで、デフォウルトの P を U に変更。
  10. さらに、要素を Magnetud に変更。
  11. Edit Color Map アイコンで Color Map Editor を開く。プロパティで設定するのもいいですが、プロパティをうろつくのはリスクと時間がかかります。別ウインドウでさっとエディターを開きましょう。
  12. カラーバーエディターのカラーバー表示右のアイコンの一番下、歯車アイコンをクリック。これで色の基準点の値とカラー値RGBを数値入力できます。カラーバーの任意の場所をクリックすると点が増え、点を選択して DEL キーを押せば削除できます。たまに削除できないときがあります。
  13. 両端のゲージの数字は、カラーバー表示右のアイコンの Rescal For Custom Range アイコンで調整します。
  14. カラー設定点を5点作成して、青、青、白、赤、赤、のように設定します。城野展を、一様流速のような基準値にします。
  15. 白の両サイドの点を白に近づけることで、基準値から高低にずれた部分がはっきり赤、青に分かれます。
  16. Apply。この設定は、追加していく流線のカラー参照を、速さUに変更することで、うなじカラーバーが適用されます。残りの流線を設定していきます。そして、Apply。
  17. スライス slice アイコンをクリックします。
  18. 座標指定で 面に垂直な軸(例えば Z) の、Z Normal ボタンをクリック。そうすると、Z軸が白矢印、それに垂直な赤い面が出来ます。座標値で面の位置を計算領域内に固定します。Apply。
  19.  今度は物理量を P に変更。圧力はスカラーなので要素の選択肢はなし。Surface を確認しておきます。
  20. 11 の作業を行います。おすすめの色は、黄色と黄緑色です。圧力ゼロは黒です。
  21. 圧力がうまく設定できたら、最後は渦度です。
  22. 17 からの作業を、物理量を 渦度 にして行います。おすすめの色は、青と赤、です。これも渦度ゼロは黒です。
  23. 設定が終了したら、ファイルメニューの Save State を選択して、これまでの作業を保存しておきます。

以上で多分完成です。

  • スライスする場合に、面の前後位置を、小数点以下の数字で若干意識すると、透過性や、背景色などの見え方が変わるかもしれません。
  • Ambient という項目は、0 の方が色が引き締まる?

などなど。この操作をすればきっと何か先が見えてきた、かもしれません。

 

時刻5秒

時刻6秒