ゼロから始める「PIC入り機械」[1]
ゼロから始める「PIC入り機械」[1]
他の記事で、機械工学がいかにして曖昧になってしまったかというお話をしました。
その原因の1つは、このような制御技術です。
そもそも、機械力学や機械運動論を学んだ結果、機械を動かす上で、プログラムを用いて動作させたからといって、機械工学技術者がプログラミング能力以外を仕事にしない、という理由にはなりません。その開発の中で、機械技術者は、本来機械技術者にしかできないことを担った状況でこそ、プラスアルファで他の作業を担うのが合理的です。プログラミングや電気回路は、本来はそれぞれの専門家、つまり情報工学技術者や電気電子工学技術者が担う方が効率的です。それがチームです。仮想実験の数値計算だって、プログラミングが目的ではなく、プログラムの中の式がメインです。現実実験だって、、、うーん、機械工学の教育では、装置の設計や加工について学ぶことは、機械工学の勉強のど真ん中なんですね。もちろん、それらは3回生までの間で習得して、4回生では流体工学にまで及ばなければいけません。
ではなんで、本研究室でPICなのでしょうか。
それは簡単、本研究室が弱小零細研究室なので、1人でなんでもこなす必要があるからです。
PICの手も借りたい。
もちろん、時代が変わって、データー収集の現代技術による合理化と、現代学生の性格、特性を補完するために必要になってしまった状況は否めません。なんで大学にはいろんな分野の専門家がいるのにチームでしないんですか。あるテーマに必要な現代技術は、他の分野では研究対象にならない雑用だからです。そんな雑用を他分野の人に頼める人は、優秀な教授だけです。普通は、いたるところ全部が未知の研究課題のテーマなんて、期間内の実現性が低くって今の学振の審査員だっては認めたくはないでしょう。
というわけで、PICブートアップ。ここではPICをはじめるにあたり、その概念を理解する助けとなるため、概要を説明します。ま、工学の本研究室を卒業したのですから、将来、工学的な趣味のための動機になるだけでもよいはないでしょうか。
機械工学におけるPICを用いた機械の概要は下図の通りです。
この対象の機械は、計測装置、実験装置、あるいはそれらの一部と考えればよいでしょう。
対象の機械が実務の改善を行うものと考えれば、実作業をまずは把握し、分析することで、そのポイントをモデル化しなければいけません。機械、回路、制御のそれぞれで、機能をオーバーラップしないように仕分ける必要があります。特に、機械や回路の動作について、機能ごとに独立できれば、それを1つのモジュールとして扱えます。つまり、切り分け可能なシステムとして構築し、総合的なシステムに組み込んで、コントロールできます。この対象もまた、勝利のシステムとして、外部の指示に従えるように拡張性を確保して置ければなお良しです。
このような全体の構想は、トラブルによって構想を見直す必要があるかもしれません。その場合、最悪のケースは、それまでの作業を全て破棄しないといけないことです。そんなことが生じたら、それまでの時間や労力が全て無駄になってしまします。これは、構想を企画した人の責任です。予想できなかったトラブルがあっても、常にその障害を最小限に抑え、吸収できるような案を複数準備しておくべきです。作業を進めるにつれ、それら代替策は再検討しアップデートしていくべきです。スケジュール管理は機械工学でも重要な要素です。
具体的にPICに関する作業の準備は、以下の通りです。
- 無料開発環境 MPlab X IDE をMICROCHIP社からダウンロードし、インストールする。必要なコンパイラも、適宜、ダウンロードし追加する。(IDEは統合開発環境)
- 書き込みデバイスを購入する。また、書き込み用のインターフェイスを作成する。
コンピューター周りの準備はこの2点です。