電気電源配線工事/作業のケーブルの色、芯径、選択に関して
暑い夏、低いトタン屋根から、逃避は顔面はもちろん、脳内の毛細血管に至るまで、遠赤外線シャワーを浴びる本研究室の低速風洞棟では、まだ熱中症が一般的でない時代にも、優秀な院生がギブアップしたことがあります。いまは、まがりなりにも容量不足のエアコンディショナーがついていますが、それでも遠赤外線は防ぐことはできません。背の高い人ほど大きな影響を受けるので、肉体作業は、午前中早めの時間に集中してしっかり準備して、実際の計測等については、遠赤外線発生源からできるだけ距離を確保できるよう、できるだけ座ったまま実施できるように計画立案しましょう。要は段取りです。
さて、電源の話はおおむね別コラムで解説しました。
電源があれば、当然電気を導くには電線が必要です。というわけで電線の話です。
本研究室の実験室の照明は、昭和のいにしえの設計なので、どうも昭和の雰囲気の明るさでしかありません。関連法令の作業に必要とされる照度の基準などを気にして、法人が労働安全環境改善をすみやかに十分にしてくれることはほぼありません。
それを改善するためには、日々改善の活動が要求される、そういう労働環境でもあります。
したがって、とりあえずは延長コード、テーブルタップの先に、作業時に手元が明るくなるように照明が取りつけられています。そのために、配線はもはやたこ足ではなく、毛細血管のようなカスケード状態です。つねに系列を意識していないと、思わぬところで停電します。
# 現状は努力もあって一部かなり改善はしていますが。。。。
とくに本研究室教員のように老齢になると、若い学生さんの二倍くらいの光量が必要です。光量と消費電力については、特徴あるカスケード電力網であっても最近のLED照明で解決されますが、基本的には煩雑です。これらを解決しようとすればやはり配線の見直しは必須です。
さて、電気をただ通せばよい配線ですが、我が国の教育、初等教育機関における理科の電気では、前置きもなくコードの色づけが採用されています。そりゃぁ、別に間違ってはいないですが、何の説明もなく、万物の中からほんの一部を取りだして例示すれば、純粋無垢な生徒は、それがすべてだと信じてしまいます。プラスが赤、マイナスが黒。そう思っている日本人は少なくないのではないでしょうか。しかも、マイナスと言えば、交流では接地のイメージ。しかし、交流の接地していない線(電圧の変動している極)の電線色が黒であることを言い当てられる日本人はどれほどいてるのでしょうか。
しっかりと教育することと、何も教えずに専門家に任せること。日本は前者の国で、専門家の利権が発生すると共に、専門家人材が減少すると様々な問題が生じます。後者は欧米式。それなりに広い知識を持っているので、仮に忘れてしまっても周辺の誰かが知っているのである意味安心です。分散型で信頼性も高い社会になります。
ま、そういう話をしているときりがないので、本題。
推奨線種(電源の配線は、もとの電源の規格に準ずるとして)
単芯銅線。断面積は 導体外径 1.6 から 2 mm (電線容量で 1600W~2300W くらい)。
通称 キャブタイヤ VVF(ビニル絶縁ビニルシース) 平形ケーブル。
ポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル、なども。
電源の種類 | 接地側 | 非接地側 | |
単相3線式 | 白または青 | 赤 黒 | |
三相3線式 | 白または青 | 赤 青または黒 | |
三相4線式 | 白または青 | 赤 黒 青 | |
直流 | 負極が青(寒色) | 正極が赤(暖色) | |
弱電系 | 赤(+)と青(-) 赤(+)と白(-) 赤(+)と黒(-) 白(+)と黒(-) |
交流では、黒い線は接地ではない。接地は一般に緑か白。
交流で黒の線があったら、黒には電圧がかかると思うこと。
などなど。もちろん作業時には電気の遮断、が基本です。また、国内でも電力会社や電気協会、ISO や、それに加盟している各国の規則、で完全統一されている段階にはないですし、特に古い機械や住宅などではなおのこと。建築会社の電気作業員が規則にどれだけ忠実に仕事をしているかの確認もありません。結局、目安です。従うけども信じてはいけない、高尚な作業者が世直しを進めている、という類いの法令規則です。各個調べてみてください。
このような規則、慣習の中で、小さいときに弱電系だけを示されて電気を学べばいれば、もちろん法令で禁止されているとはいえ、何かトラブルが生じやすそうな気配です。これは全くの憶測ですが、理科を担当し教育する側の教員もこのような規則は認知していない可能性が高いです。
この危うさが、今の日本社会のリスクガバメントに対する規制主体方式のコンセプトになっていると言うことです。文科省が今なおどんどん授業科目を減少させて、日本人の知識およびその取得に対する労力を削減しているのは、政府方針に従っている、ということのようです。
当然、欧米との較差は広がるばかり、というか日本がときを重ねるほどに沈降していく。ごく一部の余裕のある企業に就職した社員だけが、高尚な理念に則って社員教育を進化させて、結果的には寡占状況を目指す、そういう競争が主なわれています。日本の代表産業である自動車会社の最近のようすを見ていると、その成果がうかがえるところです。
え、でも、日本人は世界で活躍しているじゃないですか。
いえ、ここでの問題は一般日本国民、特に次世代を担う日本国民すべてです。
しかし、教育現場でもある本研究室は、しっかりした情報を与えた上で、こういう問題に対処できる、ということを目指せればとは思います。わざわざリスクを所って実地体験しなくても机上でしっかり教えればいいではないか、という非難が聞こえてきそうです。そうです。日本人は優秀なので、一度学校の授業で教えられたことは絶対身につく民族です。みなさんの頭にも小中高で学んだ理科の知識がいつでも活用可能のはずです。そんな日本の技術者の設計製作した工業製品を使用する日本国民は、日本人の名誉をかけて工業製品に命を預け、事故が生じても品格があるので決して文句など一言も言わないものなのですね。確かに欧米に比べれば桁違いにぬきんでています。
電線の話は、みなさんには身近になった携帯電話のアンテナなどで用いる高周波などについても調べていけば、流体工学にも通じる面白い話もあります。興味を持って調べてみることはよいことでしょう。
結局、本研究室では
電線の色は信じず、配線はきちんと辿ってテスターでも確認
です。
ご安全に。
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