FSET Standerd ~ シールについて
本研究室では、流れの可視化では回流水槽を中心に利用しています。
それ以外でも、流体工学実験では、エア漏れ、水漏れ、の対策は必須です。
一般に、機械的な漏れについては、そもそもの装置のシール面をきれいに仕上げ、それらの面接触でシールを達成できるように、ボルトの配置、本数、などを考慮して実験装置を作ります。
回転軸周りでも、トルク抵抗が大きくなることが問題ではありますが、Oリングの適切な使用は有効です。規格を参考に、状況に応じた規格外適用も検討してください。
通常はこれでなんとかなりますが、面-面間シールではさらに念を入れて、ゴムシートを利用します。しかし、現実には、ゴムシートは結構切るのが難しく、そもそも無思慮に作業を始める学生さんは自分ではきちんと作業しているつもりでも、作業や作業結果である仕上がりに不安が残ることが多いようです。
設計時の配慮
ゴムシートを使用する場合は、通常のブチレンゴムでよい。充分な安定した面がある場合は、厚さは 1mm 以下の薄いシートてよい。特に、ボルト穴周りをシールする場合は、締め付けによる変形が漏れの原因となることを防ぐため、厚さ/幅の比を十分小さくすること。ボルト頭でのシールについては、本来機械設計的根本対応が理想ですが、ゴムの使用以前に、接触面をどのように実現するかという設計段階での考慮が重要です。生産技術センターでの一般機械向けの指導を鵜呑みにするのではなく、きちんと状況を説明し、設計意図を伝えた上で、穴径の検討、少し大きめの座付きボルトの選択等も検討してください。
運用時の対処
上述にある原因以外にも、様々な理由で、装置運用中には漏れが生じます。根本解決を図るのが筋ですが、現実的には、学生さんによる全力の考察による、現場でのやっつけ仕事、と呼ばれる対処になることが多いようです。もちろん、予防的措置としても有効です。
漏れ部分にシール材
最も多いのは、バスコーク(セメンダイン社)などシール材を漏れた場所に塗布。
そもそもシリコン接着剤であるこの類いのシール材を、運用中に水漏れした部分に何の考慮もなく塗布した場合の結果は概ね知れています。
通常は、接着面の接着性が悪く、微細なすきまに圧がかかって、ぽたぽたと老衰します。この場合、さらに上塗りをしても、接触面の状況は変わらないため、想像がつくように、大きく成長したガン組織のようにこぶとなって成長していきます。
運がよければ、流出損失の拡大によって漏れは収まりますが、こぶが大きくなるほどに流出する線長も長くなるため、観察水槽としてはあまりよい結果を得られません。
シール材を使用する場合には、塗布面の前処理が肝要です。しかし、それよりも、シール部位の選択が大切です。可能であれば、引張(引きはがし)圧力を受けるのではなく、圧縮(押しつけ)圧力が作用する綿を洗濯してください。
シール材の他には、最近は様々な資材が市販されていますので、フィルム状のシールも有効です。とりわけ、スポーツ、家庭医療用の防水フィルムは、工業用に比べて少量の安価で入手できて便利かもしれません。
いずれにしても、
シールは高圧側から。
を基本に対処してください。