流体機械の種類と実物の形状
機械系で、流体系の研究室ならば、流体機械を扱うことが多かったはずですが、最近では物理数学が中心であり、研究もバーチャルに進められるため、授業では空想の世界で流体機械を学ぶことが多かったようです。そんな流体機械も、もはや専用で学ぶ機会はなくなり、機械系という学類はいったい何を学ぶために授業を行うのかすっかり意識から消えそうな日々です。
そんなカリキュラムの中で生きる学生さんに、少しでもリアルな機械としての流体機械を少し紹介します。もちろん、こんなWEBページなんか見なくても、ネット上にはいろんな実機の写真があふれています。ですから、ちょっと気休めに、スタートライン程度に質素にまとめてみて、関心を持つきっかけになることを祈ります。
万が一にも実物に触ってみたいという本研究室の学生さんは、研究打合せの際にでも申し出てください。
容積型
ダイアフラム型送風機
ゴム膜を電動モーターで面外方向に往復運動させることによって容積を変化させ、逆止弁との組み合わせで一方向への容量移送を実現しています。ゴム膜を外部から駆動すれば、ゴムのみで容積を構成でき、外部空間と完全に遮断できますので、機械オイルや異物、異物質の混入を完全に防止できます。シンプルで動作も確実なため化学系の用途によく使用され、スラリーなどを含めた食品製造業などでも使用されています。
ルーツ型送風機/ポンプ
外接歯車型の一種。写真中、流体が上方へ移送されるとすれば、各ギアは中心(ギア同士の接触部)で下方方向に、噛み合うために左右逆方向に回転します。二つのギア同士の接点と、ギアとケーシングの接点の2接点で囲まれた領域が入り口で増大し(写真左下の空間)、片側のギアとケーシングで囲まれた固定容量の領域に分離して(写真右下、左上)出口に移送される。出口に接近すると空間が減少して(写真中央やや右上)流体が排出される。常にギア同士が中心付近では接触しているので、原理的には入り口への逆流は生じません。
ギア型ポンプ
Gerotor Pump。内接歯車型の一種。外接型とは異なり、外周が外歯車で閉鎖されているので、これら歯車の側面から流体が流入できるように流路が設けられている。偏心して動きが複雑に見えますが、実際には共通軸芯が一致しているので軸芯位置は動きません。
容積型は、航空機の非常用油圧発生装置などにも採用されています。映画などを関心を持って見ていると、航空機事故など油圧が失われた状況において、乗員がなにかのハンドルを必死で回している場合は、内接、外接のギア式のロータリー型手動油圧ポンプを操作していると考えられます。往復運動なら、間欠移送のピストンポンプの可能性があります。油圧動力系のコクピットディスプレイには非常用の青系ラインがオンライン表示されているかもしれません。ちなみに内接型のジェロターポンプは、内燃機関を搭載した自動車のエンジンオイルポンプなどで多用されています。
ターボ型
遠心式羽根車
ターボタービン(自動車用)
右側の複雑な形状のタービンがコールドフロー、吸気用コンプレッサー。左が排気ガスタービン。実際にはこのタービンはアンモナイト状の渦巻きケーシングに収納されています。
シロッコファン(多翼ファンの一種)
横流式羽根車
クロスフローファン(多翼ファンの一種)