[09] 軽量化構造設計

今年、令和元年は、ほんの少し、在阪某放送局の有人無動力機のイベントに参加されたチームの作業を垣間見ることができました。

航空機に限らず、機械では、軽量化と剛性は強度設計の大きな主題だと思います。産業分野によっては、軽量化など全く意に介す必要もない(と理解されている)産業も多くあるようです。

本研究室では、頭初からとりわけ実験模型の製作においては、軽量化が必要でした。流体力学的作用を受ける模型が、質量によってその特性を買えるような分野では、模型の慣性の影響を極力抑える必要があり、すくなくとも、調節可能にするためにも質量は抑えておく方が無難です。

これらは、現実実験においては、実験設備の制限の中で、できるだけ幅広い条件のデーターを取得できること、あるケースでうまくいかなくても、それが実機と比べて模型の慣性の影響がとても異なる場合に、実験設備が設定条件に移行する課程で、状態が破綻する可能性もあるからです。

いずれにせよ、軽量化設計を行い、それを実現するには、いろんな障害があります。

とくに、設計に関してはある程度自己完結できます。しかし、その図面を製作部門に出したときに、大学などでは特に、製作部門、業者、などが拒絶したりすることです。

特に大学では、設計者の設計意図も理解せずに、製造部門はその責任者が依頼者にまで影響を及ぼすことがあり、たいへん苦労します。設計者が依頼しても、「こんなん困難作っても無駄だ」というような状況になったとき、もはや(どういう権限下はわかりませんが)責任者として受け付けない、なんていうこともあります。要らぬところで精神がすり減ります

ま、学内で起きるこの構図は、民間企業では、軽量設計を行った担当者と、自分が責任を取ると思っている管理職との間に生じると思います。発注元とベンダーの関係だと、もう少し支配的な関係があるのでトラブルにはならないのでしょうけど。

今回の、空を飛ぶ機体の設計でも、軽量化構造についてはほとんど理解をされずに水面下での表に出ない衝突が多くあったようです。

主体は地域の製造業のグループですが、まず、軽量化が重要な機械の実態については知識がなく、構造には主たる目的があるという観点はあまり精査されずに、機械とはこういう強度であるものだ、という感性が支配します。ちょっとくらいぶつかったくらいでは変形もしない機械の構造を扱う人の思想と、空を飛ぶ機械の構造を作る人の思想は、痛い養鶏で育った知的生命ほどに根本的に異なるようです。

常に軽量化を意識していると、その構造がどのような力を持つモノであるかはたいへん気になります。そうでない人は、応力よりも、無作為に持ったり叩いたり乗っかったりしたときの変形だけが気になるようです。効率的な構造と比べれば、無作為の力に耐える構造なんて言うのは非効率きわまりないもの、という発想がありません。

 

 

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