[07] 強度設計(3) 安全設計 きかいのき_翼のある乗り物、二点

日本の製造業の品質は高い、とはいうものの、一方でコスト削減追求によって、結構粗雑な商品も増えているような気がします。

工業製品には、技術の底上げが重要です。そうでなければ、充分な技術を持ったベンダーの囲い込みによる一製品に関わる企業グループが必要です。

日本のスタイルは、欧米に追いつけ追い越せ時代の第1世代では、品質向上のため、とにかく自社技術の向上を行っていたと思います。そうでなければ、家族ぐるみのような企業体で、下請けにも指導を行い、なんとかベンダー納品の部品品質を向上させようとしていたのではないでしょうか。

第二世代では、コスト度外視の熱血も難しくなり、部品をベンダーに任せる依存度が増え、コストのためにその首をすげ替えることで競争力を維持していたのかもしれません。上位の企業は、ベンダーに仕事を与える代わりに、品質達成や価格を(力で)支配している状況かもしれません。

第三世代は、一部ベンダーは技術を伸ばし、いつ契約を切られるかわからない状態から、技術を武器として独立するベンダーと、支配の状況から抜け出せないベンダーの二極化が起こっていたようにもおいます。

最近では、グローバライゼーションが進み、さらに格安の海外製品を採用し、第1世代同様に結果的には技術流出をすることによって、国内のベンダーが、人材不足と相まって、淘汰されている状況かもしれません。

もはや製造業の継続性を維持するのは困難な日本の国情なのでしょうか。

 

さて、今回は、製造業の継続性という安全ではなく、商品の安全性に関わるお話です。

一般に機械が壊れると、事故を起こす、あるいはユーザーの業務が停止するなどによって損害を生じます。そのために最近はいろいろと面倒な社会になってきています。

一方航空機も同様ですが、機械的な欠陥がそのまま人命に関わることも有り、構造の安全性は早くから配慮され、対応が取られています。

設計コンセプトにおける最初の安全性確保は、破壊が生じたのちの構造の維持のための工夫でした。これらは、コメットの事故による成果と言ってよいと思います。

 

ここで取り上げる安全設計は、静強度での安全率とは異なり、構造による安全設計です。つまり、構造(主要メンバー)に不幸にも破壊が発生してしまったとき、それでも構造が最低限の強度で維持でき、次の規程の検査時期までの期間だけはクリティカルな破壊を生じず、墜落をまのがれるうるような構造上の工夫です。

これらは、ダメージトレランスデザイン(損傷許容設計)と呼ばれます。それを実現する構造を、耐損傷許容構造とよびます。

耐損傷許容構造は、大きく大別して、亀裂緩成長構造とフェールセーフ構造に分けられます。後者はさらに、他荷重経路構造と亀裂停留構造に二分できます。

 

 

後日追記予定。