きかいの”き”
本学の三年次では、機械工作実習がカリキュラムに組み込まれ、基本的な工作機械の使い方や、実際に機械を操作し、切削などの加工を行なったり、刃物の特性なども考慮し、NC機械用のプログラム作成なども体験します。最近では、工作を経験することの意義もわからずに、指導者に異議を唱える学生も現れるなど、工業製品の設計、製作、それらと関連する試験などを企画する業務を担うべき、機械系技術者の未来も、より鮮明に体感できるようになってきています。
現代では、ほとんどすべての工業製品はメインテナンスフリーとなり、パソコンですらユーザーが部品交換を自ら行うおうとすると、いろんなところに黄色い文字で警告を受けます。さらに、機械製品では、国家が法律で変更を禁止しているものも増えてきています。したがって、本来、それら工業製品を考案し、政策に関わり、改善していくべき技術者の卵が、完全なエンドユーザー意識に染まっているのも、国家政策の1つともいえ、技術者教育は国策相手にあえなく撃墜、撃沈、撃破されているのが実情でしょう。もっとも、研究者ですら、実験や数値計算環境は、メーカーや業者任せが増えてきているので、もはや時代が変わったと言われても、致し方ない状況です。
とはいえ、恐竜的な時代遅れの教育方針を掲げる本研究室では、独自の実験装置が多くあり、その開発から保守、改善の作業がわんさかとあるのが実情です。これに対処するには、もはや死に体の古典的機械工学の知識と技能も必要です。
本コーナーは、主に機械関係の基礎的なお話について紹介しています。
まずは、バベルの塔状態の状況を脱し、最近の学生の自宅ではまず見なくなった機械を扱う現場ではごく一般的な工具の名称と、どのようなときにどう使うのか、ボルトを切ったり、頭を舐めたり、鋳物工具を破壊したり、ドライバーをへの字に曲げたりする確率を大幅に減じるための使用上の注意事項から説明していきます。そのほか、機械の扱い方や運転中の監視、事故防止のためのいろんな兆候、などなども説明していく予定です。
# “説明する”ということは、これくらいは使いこなせるくらいになっておけ、という意味です、念のため。