機械工学

category

CORVID-19 の感染状況を中高生の知識の範囲内でわかりやすく表現してみた

202135日、関東では緊急事態宣言が継続されました。

これまでの経緯を簡単に荒っぽくまとめてみると。

 日本は、クルーズ船ダイヤモンドプリンセスでのCORVID-19感染でファーストコンタクトを行いました。このクルーズは、2020120日に始まり、感染発覚後は、那覇を経由して24日に横浜に帰ってきました。これに対する対応の困難さを讃えるのは、日本人的には大好きですが、特に知識の教育効果や危機管理の考え方について、当時のレベル状況については機会があれば調査することは興味深いでしょう。日本では、きっちりと対応する人は、いわゆる常識はずれ、平均的な知識の人びととは立場が違うとき、社会の常識と外れている人として、阻害、追放される文化があります。このことは皆さんが生活の中で少しでも感じていれば事実でしょう。この特性は、常識のレベルが向上すれば良い結果を示しますが、そうでなければ悪い結果を導きます。この際の日本人の行動は、日本の危機管理意識の浸透性を示しているとおもわれます。工学、もちろん機械工学を勉強している皆さんは、製品開発の中では常識となった危機管理を、最低限、壊れない、を目標に身につけることの大切さを感じているでしょう。それをどう管理するか、あるいはどう発見するか。それはすでに工学の世界では確立されていることを学習しているでしょう。あとは、実践するだけです。

でも、なぜか日本では、優秀な政治家、官僚、科学者は、今もなお、対応の是非に関する論議を続いています。ひょっとして、わざと?高給取りの人々の発想は私にはわかりませんけど。

 政府はクルーズ船からのウイルス侵入は抑えたものの、当時の安倍総理は中国及び他国との関係への「適切な配慮」によって、空港からのウイルスの侵入を許しました。「SARS対策で完璧だった」という検疫体制を、国会答弁等で強調していたことが思い出されます。結果的には、その後、完璧な防疫体制ですら突破され続けて、現在、変異ウイルスの侵入も多数発生しています。

その結果、日本における第一波は、クルーズ船とは別ルートで、3月中旬から7月当初までに発生し、最大1日感染者発生数は約750(9,Apr.)、同死者発生数は30(5月初頭)でした。第一回緊急事態宣言は、7,Apr. に発行、25,Mar. に解除されました。なお、19,Jun.まで地域を超えた移動の自制が指示されていました。この間は、感染発生数はゼロではなく低いレベルで安定して推移していました。

移動が自由になると、再び感染者発生数が増加して、その結果、第二波は、8月初頭をピークにして9月中旬まで発生しました。これがGOTOキャンペーンが原因だった、という論争は今も残りますが、データーがなければ泥試合です。なんとも非科学的で時間の無駄ですよね。ピークにおける感染者発生数は1700人くらいでした。このとき、政府は宣言を出していませんが、第二波は終息し始め、発生数は1500人程度以下の状態で10月末まで経過しました。

2020年末に向けて感染者発生数は増加し、感染は第三波になりました。2021年になり発生数は急増し、そして8,Jan. にその値が7683人になったとき、2回目の非常事態宣言が発表されました。その日をピークとして感染者発生数は急速に減少に転じて、23日現在では1200人弱に収束しています。東京ではは1300人前後で日本全体の25%程度です。これは人口比率におおむね近い人数です。最多の東京で、週あたり10万人に対して14人程度です。

これが日本のコロナ感染の現在までの状況のようです。

さてここからはいつもの簡単なテスト、頭の体操です。

学生の皆さんもコロナ感染の状況には、一喜一憂しながら見守ってきたことと思います。

我が一応スポンサーである大阪府をはじめ、多くの自治体の長は、「○○モデル」と称して、競うように自都道府県の名を冠した危機対応の判断基準を発表したこともありました。これらの謳い文句は、「科学的客観的な判断基準」、だったような気もします。でも、この第三波に至っては、あれ、って思うほどの腰砕けで、浪花節絶好調です。科学的で合理的な基準はどこかに行って、日本の伝家の宝刀、「総合的に判断」がやっぱり横行しています。

工学を学ぶ、あるいは小学生から科学を学んできたみなさんは、決して見習ってはいけないことと思う、と本研究室では助言したいと思います。

簡単な例題として、感染動向のわかりやすい図示。

これが今日のテーマです。

小学校でも、と思いますが、日本国民はみな、数学あるいは算数を学んでいます。その中で、グラフの傾き、や、その求め方も学んでいます。一方で、その応用の一つとして、理科ではいろんな変化するもの、温度や物体の移動について学びました。速度や加速度のようなものです。古典力学のニュートン力学以上に学習している日本国民の一人である学生さんが、速度と加速度の関係や、加速度が出てくるニュートンの運動方程式を使いこなせないはずがありません。それを習っていないことは多分ないはずです。

ということは、例えば、位置、速度、加速度、が、算数では何かは知っているはずです。つまり、義務教育だけでも十分理解しているはずのものということです。そうでなければ、努力不足か科学を諦めているのか、文科省の大失態です。

コロナになって、富嶽の流体シミュレーション、粒子方かもしれませんが、世によく登場するようになりました。いずれにしても、そういう計算の基本は、この微分、です。でも、ぶっちゃけ、微分法が流行っている理由と同様、微分は高校数学のような数式計算をすることは現実には少ないでしょう。あ、理論式導出は別ですよ。現実のプログラミングでは、四則計算で全てが納まることが事実でしょう。過言すれば、プログラム学習を受けている小学高学年なら、できる、ということです。それが流行の理由の一つです。

つまり、微分というのは非常に簡単なのに有用だということです。だから、学習でも登場するし、実社会でも使われているわけです。

ならば、何かの現象を分析して客観的判断が必要な時に使わない手はないはずです。これが、今回の課題です。

世に溢れているのは、〇〇の発生数とその総和であることが多いです。

発生数から見ると総和は積分ですが、それは足し算であるということです。逆にみれば、発生数は総和の微分です。非常に当たり前です、さぁ、もうこの意味は分かりましたよね。

じゃぁなぜ、感染者発生数について、一階微分や二階微分、言い換えれば、増加率や曲率を利用しないのでしょう。

この手の問題は、多分本大阪府立大学の入学試験には常連のはずですす。なのに、実験の授業でも、これらを利用する人はほとんどありません。変化率と曲率を組み合わせれば、現象はかなり厳格に判断できるのに。

そんな小中高生でもわかることを、世の中の、政府、官僚、国会議員、専門家からマスコミの人に至るまで、示している人はあまり見ません。多分現時点で。これらを、評価対象、感染者数や入院、重症、死亡者数などに当てはめれば、きっと医療崩壊の兆しだって客観的に科学的に示されるはず、と考えるのは、日本の世界に自慢できる高度な教育制度を受けた日本国民の常識、と思うんですが。なのに使わないのは、絶対前述のようにワザと、です。きっと、不都合な事実、大人の事情があるのでしょう。

でも、みなさんは、社会に出て、一般企業に入ったのであれば、得たデーターはとりあえずデフォウルトで、2階は微分しましょう。きっと何かが見えるはずです。

で、感染のトレンド。

この2つのグラフ、とりわけ微分値に関する上部の2本の曲線は、二つ目の図では強調するための常套手段を用いています。増加率の区切りと、曲率の正負が強調されています。さてどうやっているのでしょうか。

number and derivative value of CORVID-19 infected people in Japan コロナ感染者数と微分[NHK公開データーを利用]

number and derivative value of CORVID-19 infected people in Japan コロナ感染者数と微分[NHK公開データーを利用]

強調表記すれば、増減表の知識を使って、各波のピークも明確になります。気の緩み、のターニングポイントまで数値的に見えてきそうです。国民の我慢の限界が短くなっているのも見えます。宣言解除後の初期値まで予測できそうです。管総理のように、「〇〇しているように思う。」なんて曖昧な表現をしなくてもいいと思いませんか。もし、なるほど、と思っていただけたのであれば、それが微分の基本的活用法による有用性の一つ、ということもご理解いただけたかもしれません。実験の授業でも似たような作業はしているはずですし、有用な場面もあるはずなので、もしも納得する部分があったのならば、日々の活動にも積極的に活用してみてください。

本日はここまで。