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学内ネットスペックの脆弱さは幸いである — コロナ蔓延騒動

2019年に発生した中国発(といっても大勢には受け止めていただけるであろう)コロナウイルスの世界蔓延は、のんきな日本にも世界を一周して伝播し、国内のほとんどの高等教育機関は、キャンパス閉鎖の中で活動を続けています。

本大学でも、5月末までの学生の入構禁止に伴って、急遽、遠隔授業での対応を決定し、概ね1ヶ月の授業開始遅延をもって、自転車操業的に授業が開始されました。

とはいえ、コンテンツを整理してしまえば、非常にコンパクトにまとめることも可能です。

ただ、ファカルティデベロップメント、と称する、授業改善(”自己”改善提案活動とでもいうもの)に伴って、リアルな大学でなければ実現しにくい要素への対応も進められてきたにもか変わらず、真っ向から矛盾する対応を強いられているのも事実です。努力を水泡に帰された感もあり、モチベーションも大きく低下します。

これまで、FDによるサービス向上とう方針を打ち出してきたにもかかわらず、経営中枢の理事会メンバーからは、これを機に遠隔授業を進展させましょう、という呼びかけもある。

 

ならば、両立を目指し、遠隔授業であれリアルタイム授業で対応ができるならば、現在の技術では、受講生諸氏を相手に実現もできないわけではない。

ところが、リーダーが推進を呼びかけているすぐその下では、システム容量があるので、非同期でのコンテンツ対応を原則とすることが指示されている。さらに、動画配信の上限も、20分以内という制限がある。

さすがに我が国の文科省に忠実な大学だけのことはある。トップの音頭は威勢がいいが、現場サイドにはゼロ予算での対応を指示され、現実はやや破綻気味(破綻確実)、というところであろう。

先進国を謳い、技術力も最先端と謳いながら、具体化という社会への還元となると、合理的な数的充実を実現していないために、必要なときにはもろくも破綻している、我が国のコロナ対策の縮図を見ているようである。おそらく先進国に比べて財政赤字が多いにもかかわらず、対等にいられるのは、このあたりの、展示会式国家運営方式、に秘密があるのかもしれまい。

 

しかし、愚痴をこぼしていても仕方がないことも事実である。

 

本来ならば、何も考えずにリアルタイム授業に移行するところが、非同期実施となったことで、受講生にはメリットも生じる。もっとも、現代っ子である受講生全員に当てはまるかと問われれば、非常に微妙な状況であることは事実ではあるが、そこはアドミッションポリシーに沿った入試は実施されている、という前提に立つ。

非同期と言うことは、学習する内容に対して、合理的に準備された授業素材、すなわち、解説動画や演習課題等を準備することであろう。個人的には、動画による解説には否定的である。動画は一般的に、情報量が大きく理解が深まるかのような記載をしているものも見られるが、果たしてそうであろうか。

少なくとも本研究室としては、授業の板書(あるいはプレゼンテーション)の解説を、延々と解説する動画は好まない。

したがって、ここに記す意見は、おそらく大学教員の常識を逸脱している可能性がある。その点は理解して読み進めていただきたい。

もっとも受講生が、非同期で実施されるコンテンツ授業を効率的に利用する方法の一つのメリットは、自由な進捗、であろう。やるやらない、うち、やらない人はどうしようもないので除外するが、実施時間帯、実施連即時間、までも自由にできるのが、コンテンツのよいところである。さらに動画という時間軸を持つコンテンツは、その意味では少ない方がよい。あるいは、動画でなければならないコンテンツのみに抽出された効率的な動画こそが高密度情報の高効率コンテンツ、といえる。それ以外は、古来からある文書形式が、時間的にも非常に効率がよい。

したがって、この非同期最大のメリットの一つ、実施時間の自由度を最大限に生かすことは、これまでの授業にはない大きな変化であろう。

このとき、唯一最大の時間的制限は、教務課の定める成績の締め切りまでに採点できるような課題締め切りを設けることのみである。

それ以外の時間的制限とは何か?

スケジュールに準じてコンテンツを小出しに表示していく実施方法である。

この方法については、個人的には、合理的な理由を見いだせない。逆に、そうしないことが、非同期での授業実施の大きなメリットの一つではないのだろうか。

意欲に燃えて集中し、よきコンテンツの続編を待っているのに、お預けを食らう。

このモチベーションの下がる実施方法に、非同期実施の授業という実施形態の中で、どのような合理的李理由があるのかわからない。

実験実習の授業内容ですらも、コンテンツの構成によっては、かなり擬似的に実験だってできる。非同期授業であれば、気まぐれに気の向いたときに実験を少しずつ実施できると言うことだ。

もしも、特定の時間帯に、特定の時間をかけて、集中的に実施し、オンスケジュールでそれが進んで行くこと、が教育に欠かせない要素であるというのであれば、非同期授業は最悪である。

しかし、未熟な本研究室では、スケジュールに沿って公開すべきと言うその意見に合理的理由を見いだせない。

 

最後に、すべての実習を擬似的に再現できるかどうかについては、技術的には可能であるが、本大学を運営する本法人には無理であろう。そういう授業を受けたければ、他大学に転学するのが肝要である。

さて、なんか大仰に記述してきたが、このメリットをこれまで実践によって磨きあげてきたのが、通信教育制大学である。

そのような大学に取ってみれば、今回の一般教育機関のバタバタ劇は、きっとほほえましくも見えているのかもしれない。

 

 

さて、コンテンツを創造してしまった後、通常に戻ったあとは、理事会メンバーの進言にしたがって、これを機に、教育のICT化としてリモート教育に移行するか。;-p

 


教員の皆さま

日頃、大学における教育に精励頂き有り難うございます。

ご承知の通り、緊急事態宣言を受けて、今年度前期の講義型授業を、全てオンライン授業として実施することを決定いたしました。教員の皆様におかれましては、これからどのように授業を実施していったら良いか、大きな不安と戸惑いの中にあると推察致します。

ほとんどの教員にとって、オンライン授業は初めての経験であり、その不安は当然のことと思います。一方で、高度情報化社会にあって、教育のICT化も、避けては通れません。この大変な状況を、新たな教育へと踏み出す絶好の機会と捉え、教員の皆様に、ご尽力いただきたく存じます。

つきましては、本学のオンライン授業実施に向け、まずは、授業支援システム上で公開している「オンライン授業の手引き」を参考に、一ヶ月後に迫った授業の準備を進めていただければ幸いです。

「オンライン授業の手引き」では動画を使って大変わかりやすく講義資料の作り方が解説されています。一刻も早く取りかかって頂き、よりクオリティの高い授業内容として頂くことを願って、直接このメールを送らせて頂きました。この手引きは、以下のサイトの中のコンテンツとして提供されていますので、一度は目を通しておいていただきますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

  「授業改善に役立つコンテンツ集」

大阪府立大学学長