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図鑑のススメ ~ 機械工学課程を選ぶ前に
さて、2020年、2回目の東京オリンピックの年。地球温暖化なのか、気候変動激化、なのか、今年は比較的温暖な新年を迎えています。近畿のどこかではもうツクシが出たそうです。
機械工学エンジニアの個人的な適性についての考えは、以下の記事その他で取り上げてきました。
全国の高校教員(および高校教育関係者や保護者)に告ぐ ~ 進路指導、機械工学科でロボットの勉強がしたいの?、機械系技術者の将来像に思う、そのほか
今回はちょっと視点を変えて、とはいえおんなじことですが、いくつか図鑑を紹介してみます。たぶん、小学生低学年くらいまでにこれらの図鑑や、それ以外の分野の、子供だましではない立派な図鑑(あるいは百科事典)の様な書籍を、押しつけがましくではなく、自然に転がしておき、子供を観察し、対話をし、それらを考慮しながら育むことが本当の家庭内教育の担うべきところなのではないかと思います。
相変わらず前置きは長いですが、気にせず前置きを続けます。
今回ここで紹介する図鑑の出版社は、DK(Dorling Kindersley Limited)社です。出版社としては歴史はそれほど古くはなく、装丁とデザインで有名になったようですが、アメリカで有名なスペースオペラのせいで、会社が傾きましたが、今はもっと古い歴史を持つ会社のグループ会社の一員になっています。
この出版社の図鑑の写真は、なかなか秀逸だと思いました。図鑑だけに、正面、側面、平面などの写真が多くなるのですが、それらの写真の撮影がたいへんきれいです。細かいところはさておき、アメリカのスミソニアンと協力して制作された図鑑も多くあります。図鑑は、日本でも概ね 2,000円から3,000円くらいから出版されています。この出版社の図鑑も、やや大判ながら、同程度の価格から入手可能です。
とりあえず本トピックスのテーマについて、2冊の図鑑をおすすめします。
1.How Technology Works: The Facts Visually Explained (How Things Work)
2.How Science Works: The Facts Visually Explained
この二つは同じシリーズで、他にもいくつか出版されています。たとえば保護者の場合、子供が小学校低学年程度であればシリーズの他の図鑑も試してみる価値はあるでしょう。ちなみに全部英語ですが、子供は興味があれば読めるようになりますし、スマートフォンで翻訳用のアプリを使わせておけば、その状況をうまく作ることのできる保護者であれば、その後の子育てはたいへん楽になることでしょう。
さて、あなたはこの二つの図鑑を眺めてみて、どちらがお好みでしたでしょう。
もう答えはわかっていますよね。前者であれば機械工学エンジニアの道がありそうです。後者であれば、もちろん機械工学のエンジニアになる可能性はありますが、適性としては科学者です。工学よりも、理学系の学域を選択するべきかもしれません。
理学系と言われても、いや、自分は工学のエンジニアになるんだ、という人は、では、何に関心を持ち何を自分で知識収集すべきか、についてしっかりと答えを出した上で、実行しはじめることです。もちろん、機械系に適している人ならば既にそうしているはずです。
優秀な科学者が工学エンジニアになることはたいへん産業にとってよいことです。日本だけではなく、よい製品を開発製造することは、世界中に影響を与えられます。でも、そこには独創性を含んだ創造力も必要です。とくに、当然ですが、機械に関するものが必要です。
上記の2冊の図鑑の違いはそこです。何か機能するものを見たときに、その中の構成、機構が気になって、その構成、機構が利用しておる原理やそれを支配する理論などに関心が及ぶのか、あるいは、実現する寄港よりも、その元になる理論や原理、現象に関心があるのか、ということです。
これらは同じように記述されて、おそらく意図的に混合されて説明されていることが多いと思います。
でも、人間の思考のプロセスには大きな違いがあるのかもしれません。
あなたが一生を捧げるかもしれない仕事のジャンル、それに向けて貴重な時間と経費を費やさされる四年制大学。
学域は既に決まってしまったとしても、その中の課程については、図鑑を眺めるだけでも何かを理解できるかもしれません。
ついでながら、同じDK社の図鑑をもう少し紹介しておきます。その周辺のシリーズは適宜お調べください。関心を見つけるために子供に、関心があるので眺めるという大人に。教科書なんかよりも安価でいろんな情報が手に入るという意味では、ファーストステップとして図鑑もおすすめです。
1.The Aircraft Book: The Aircraft Book: The Definitive Visual History (Dk General History)
スミソニアンと提携した飛行機の図鑑。文章は各章の頭に少しあるくらいで、あとは写真と簡単な解説、諸元。様々な航空機がすべて写真で紹介されているところは、圧巻。シリーズには、その他に、列車、クラシックカー、タンクなどがあるようです。
2.Flight: The Complete History of Aviation
こちらは Imperial War Musium(帝国戦争博物館)との提携。 上の書籍に比べると読み物がかなり多くあります。航空技術の発展を、戦争の段階に分けて開設し、それら技術の未来への適用について説明していく流れになっています。
3.Engineers: From the Great Pyramids to Spacecraft
この図鑑は、小伝記集です。歴史上の有名な技術者、科学者を、概ね見開き2ページで解説しています。技術者と、その代表的な機械の図版が載っています。この図鑑は、少しタイトルが異なる、表紙が橋梁のものとエッフェル塔のものと二つ版があるようですが、目次を見る限りは同じ内容のようです。出版年は前者が新しいようです。
それほどの投資でもないので、amazonなどで発注して購入してみて、眺めて、自分が何者になるのかを年度末、春休み中にじっくり考えてみるのも悪くないのではないでしょうか。