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縄跳びと送電線
関東をおそった台風15号(2019年9月9日)によって、家屋に被害を受けた方はもっとも災難でしたが、さらに追い打ちをかけたのは電力供給停止なのかもしれません。
家屋に被害を受けた方はもちろん、住居や店舗が被害から免れたヒトも、電力の供給が絶たれたために、様々な経済的被害を受けておられることでしょう。お見舞い申し上げます。
さて、今回の被害が徐々に明らかになる仁尾つれて、おそらく高圧送電鉄塔や、街中の電信柱の倒壊本数が増えているようです。また、ネット(網)を支える鉄塔に加わる抵抗の大きさのために多くの住宅も自然災害被害を受けています。誰も責任を負えないような重要な被害に対する政府施策方針はまだありません。
鉄塔の崩壊は、流体にかかわる事象としては、当然、流体力およびそれにより派生した機械的な力による破壊なのだろうと想像します。一方、同じ観点から、街中や郊外の電柱も同じメカニズムで倒壊したのかどうかは気になるところです。最近は、風力タービンも含めて製造者や勝利者には非常に厳しい規格が適用されていますが、その人知を超える条件で破壊されているのであれば、これは国家支援が必要なやむを得ない被害なのではないかと思います。
Power Cable の送電鉄塔倒壊は、一般には渦誘起による空力力やギャロッピングなどが発生し、さらにはケーブルの慣性力が鉄塔に繰り返し撃力を与え、ダメージによる変形が一定レベルを超えたところで、一気に崩壊すると言うことが想像できます。鉄塔の場合は、おそらく設計時にもそのような空力力や、ケーブルの振動による繰り返し荷重を計算していると思われるのですが、やはり、強い台風が来たあとには、高圧送電鉄塔の自己は散見されます。
そもそもは、これらの現象は特に強い風、風速が小さくても発生するものです。ただ、風速が増せば、様々な乱れが要因となって、現象が複雑になり、ケーブルの運動も設計時の想定を超える場合があるのかもしれません。ケーブルの重量(質量)もそれなりに大きいことや、運動したときに何かの弾みで運動が制限されたと均お力の大きさを考え、あらためて鉄塔を見てみれば、現状の構造では壊れない方が不思議に思えるほど、鉄塔は華奢にできています。
渦誘起運動は、最も簡単にいってしまえばカルマン渦列です。物体(ブラフボディ)の交流(ウエイク)において、非定常に周期的に渦を放出し、その渦が交互に側面から放出されるとき、物体は交互に力を受けますが、送電線のようにたわみがあるような場合には、前後上下に力を受けて運動をし始めるために、複雑な状態になります。
ギャロッピングは、自励振動の一種です。
ところが、その周期が偶然(というか送電線の特性に)一致したとき、ばらばらな動きではなく、縄跳びのように大きく運動をすることがあります。
網を通過する流れの損失については、本研究室に補完されている 「2講座ライブラリィ」には、昭和の卒業研究に非常に貴重な基礎的な実験データーがあります。
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