機械工学
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サイエンスフィクションのススメ 〜 進路を考える
サイエンスフィクションのススメ 〜 適性と進路を考える
Science Fiction。日本語では空想科学小説、またはSF。欧米では Sci-Fi と表記されるようです。その定義や分類は実はかなり曖昧で、一般的には、ハードとソフトに分類されるようです。
その歴史は、かぐや姫や聖書に至る、というような話もありますが、科学が体系化されはじめた現代では、ジュールベルヌやH.G.ウェルズ、の作品がルーツとして思い浮かべられます。
個人的には、やはり科学に基づいて、その延長を豊かに想像し世にないものを創造するような作品であってほしいですが、SFという略語的には、サイエンスファンタジー、スペースファンタジー※1、というように、科学の延長というよりは冒険小説のようなものも多くあります。科学推理小説のサイエンスミステリーや、もはや荒唐無稽な夢物語や、単に宇宙や未来が舞台の人間ドラマ-スペースオペラ・アドベンチャー※2 やスペースホラー※3、スペースオカルト※4 まであります。SF的なサイエンスホラー※5もあります。舞台が未来でも、すごい機械が出てきても、SFとは限らないところが、現代の機械工学が置かれている状況にとっても似ていますね。
※1 火星シリーズ(火星のプリンセスなど)のように、ナルニア国物語、ピーターパン、最近のライトノベルの召喚もの、などに似た、単なるファンタジー小説も多い。
※2 宇宙を舞台にした壮大なお話。壮大さでは、科学的には少し差異があるがスタートレックやスターウォーズのような設定はしっかりしている総合的なもの、宇宙のスカイラーク、レンズマンシリーズ、キャプテンフューチャー、フラッシュゴードン、などなど。
※3 スペースバンパイヤが有名ですが、遊星からの物体X、エイリアンシリーズやプレデターシリーズもこの類かもしれません。
※4 映画 ノイズなどはオカルト映画かもしれません
※5 アンドロメダ病原体、パラサイトクリーチャーズほか、バイオハザードシリーズなどのゾンビものもこの部類かも。
ハードなものは、特に、登場する機械や装置、現象などについて、きっちり科学的な根拠の延長上にあるように書かれています。一方、ソフトなものは、まったく原理や理論をすっ飛ばして、唐突にいろんな機械、装置や現象を引き起こします。もはや魔術、オカルトです。
SFを勧めるのには大きく2つほど理由があります。
ひとつは、科学的な小説を読むことによって、業務で必要となる知識や製品の目的などが想起されるためのヒントになりうるからです。登場する装置などを、習得した知識を使って、どのようにすれば具現化し得るのか、あるいは、物理学の原理で発生しうる現象のイメージトレーニングによって、工学的問題を事前に推測できるようになるかもしれません。このような小説を読むことによって、科学への関心が生じ、科学の勉強に動機付けができるかもしれません。
ふたつめは、それらを読んだのち、その小説のどの部分に興味を持ったか、あるいは、SF小説の中のどのような分野の小説を選択するか、小説のどの部分に興味を持ったか、によって、自己分析できるからです。
高校生が、進路について最初に悩むのが文系か理系かの選択ではないでしょうか。別のコラムにも書きましたが、理数ができる=理系、ではありません。製造業や理学系に興味関心があり知識がある=理系です。残念ながら、日本人では、そういう特性を持った人の割合は確実に減少していますので、うっかり理系を選択すると、一生後悔する確率は格段に上昇しています。おそらく、どちらかわからない場合は自信を持って文系です。理系なら、少なくとも科学に興味があって高校生ではその片鱗が現れているはずです。物理や化学等の知識が蓄積され数学がそれなりに理解できているので、理系か文系かがわからないことはないはずだからです。
さらに加えて、製造業に関心があるか、だけが重要です。とても優れた数学の能力があれば別ですが、数学が得意でも、文系特性の人は理系に行ってはいけません。数学が他よりマシ、レベルなら間違いなく文系です。現代では、経済学、社会学、などなどで理数知識が存分に活かせられます。逆に、数学はちょっと嫌いでも、機械、装置などの中身に関心があって知識もあるのなら理系でも大丈夫です。
理系、すなわち工学系、製造業系なのか、それとも文系、つまり社会学系、サービス系、行政系、などなどなのか。すでに大学に入学していたとしても、SFを読む(見る)ことで自覚できるかもしれません。
SFを読んだときに、そこに登場する機械、装置、あるいは現象の“理由”や“メカニズム”に関心があれば、理系でいいと思います。しかし、ストーリーや人物、機械装置以外の設定となる社会構造などなどに惹かれるのであれば、きっと文系です。ただデザインがカッコいい!という人は文系、芸術系、中身や原理機構がきになり調べる、考える人は理系です。
SFを読めば、さらに分野まで分かるかもしれません。ロボットや家電も含めた装置に興味があれば、電気、電子、情報系。いろんな機能がついてるものなども含めて素材や材料、薬品などに関心があれば物質系。エネルギー源に興味があれば理学や化学、乗り物のどんがら(機体、車体)や物理的な機械に興味があれば機械系です。今では、最先端の装置は大抵ソフトウェアが重要で、センサーなど電気機器が付いているので、そのような装置のどの機能の部分に関心があるのかで分野を判断すればよいでしょう。装置全体を工学的にマネジメントしたいのであれば電気系か情報系です。より基礎的な原理や力学、現象を扱いたければ理学系です。機械系は特に製造のウエイトが大きいです。
古典的SF 原作およびその映画化、基づいた関連作品
ジュールベルヌ
・海底二万里 潜水艦技術と海洋物理、生物
・地底旅行 地球物理
・月世界旅行 宇宙船
・80日間世界一周 鉄道と世界文化
ほか
H.G.ウェルズ
・宇宙戦争 宇宙人襲来と細菌感染
・タイムマシン 時空旅行
・ドクターモローの島 DNA操作
ほか
マイケルクライトン
・アンドロメダ病原体 細菌学
・ジュラシックパークシリーズ クローン
・タイムライン タイムマシンもの
・プレイ 獲物 ナノテクノロジーや人工生命体
ほか
アイザックアシモフ
・われはロボット 短編集
レイ ブラッドリー
・火星年代記 火星人との短編集
・サウンドオブサンダー タイムマシンもの
フランクハーバート
・デューンシリーズと映画 砂の惑星
アーサークラーク
・2001年宇宙の旅シリーズとその映画
フィリップディック
・アンドロイドは電気羊の夢を見るか? と映画 ブレードランナー 人造人間
海外ドラマ,映画ほか
・巨人の惑星
・原子力潜水艦シービュー号
・宇宙家族ロビンソンおよび映画 ロストインスペース
・タイムトンネル
・猿の惑星シリーズ
・謎の円盤UFO
・サンダーバード
・スペース 1999
・コミック フラッシュゴードン および映画フラッシュゴードン
・スタートレックシリーズおよび映画スタートレックシリーズ
・映画スターゲイトおよびスターゲイトSG1シリーズ
・シークエストシリーズ
・映画 マトリックスシリーズ ネットワークとVR空間。二作目以降は、、、
日本 小説、映画、コミック、アニメほか
小松左京
・日本沈没 プレートテクニクス
・さよならジュピター ブラックホールと核融合
・首都消失 宇宙人と物理学 星新一
幸村誠
・コミック、アニメ プラネテス 近未来宇宙デブリ
そのほか、TVドラマやアニメなどにも秀作があります。
SFそのものに興味を持った場合のエポックメーキング作品
小説 ラルフ124C41+ ヒューゴ 1911ー1912 SFの著名な賞、ヒューゴ賞の名の作家