雑感(サービス)

category

プレゼンテーション 〜 発声

プレゼンテーション 〜 発声

大学では、世間(企業等)の要望に応える形で「コミュニケーション能力」の習得という目標のため、創生科目の設置など、プレゼンテーションをする機会があります。もっとも、企業の求めているところのコミュニケーション能力とマッチングしているかどうかはフォローされていないかもしれませんが。

本課程の授業でのプレゼンテーションは、はっきりいって、参加賞に近いもののようですが、あくまでも教育としての基準なので、合格ラインを引き上げると、敷居が高くなりすぎて平均点が下がってしまうため、ごっこっぽいものになってしまっているのが実態です。しかし、掲げる授業目標が、多数の前で説明し、討論することですので、これで発表という経験を達成することができ、スタートラインに立てるので十分効果がある、ということになっています。

ところが一方で、最近の学生さんの多くは、大学での自身のスキルアップが目的ではなく、単位取得をして卒業し、いろんな意味で安心できる企業に就職することが最大の目標のようです。「単位は取れればよい」と断言する学生さんの割合もかなり顕著です。実際には、後者が達成できれば、前者は単位数さえクリアできていれば、いまはやりの忖度でセットでついてくるようですが。そのため、多くの学生さんは、プレゼンテーション能力に限らず、よりよいものを探求したり、どんな問題にでも柔軟に対応できるという総合的な能力を身につけることには消極的です。卒論や修論の活動においても、目先の課題をこなす作業をうまく繋いで、とりあえずゲームのような感覚でクリアしていく、ボスの要求をギリギリラインで綱渡りして行って、大局に目を向けない人が多いように感じるのは、気のせいでしょうか。

いずれにせよ、冒頭のように、大学がシラバスに準じてオッケー、たとえ評定がAやA+であっても、スキル的にはたぶんスタートラインです。したがって、C評価は、スタートラインも怪しいかもしれません。とはいっても、理由はさておきC評価をつける先生はあまり多くないので、C評価を見る学生さんも少ないでしょうけど、その成績評価が妥当かどうかは、単位取得ができたかどうかという邪念をのぞいて客観的に考えることができれば、学生さん本人が一番よくわかっているいるでしょう。

大学のオッケーがスタートラインであるということは、授業=単位取得から先は、本来は自らの行動でスキルアップが必要ということです。スキルアップを目指しているのであれば、ですけど。

今年、2018年は、サクラもタイミングよく?入試合否発表に満開でした。そして今、新緑の今は四月。一部の学生さんは、上述の大学進学の唯一最大の目標、就職活動真っ盛りです。(内)内定がぽちぽちではじめるこのころ、苦戦している人もいるようです。

さて、あいかわらず前置きが長くなりましたが、ごっこ的な大学のプレゼンテーションとはちがって、今、リクルーターたちは、人生をかけた一発勝負のプレゼンテーションを展開しています。しかも多くの天才的な学生さんたちは、日々のスキルアップのような地道な活動よりも、その時に考えます、という臨機応変な優れた臨戦能力を持って挑んで、人生を決定しているようです。逞しく、また、頼もしい限りです。会社の一大事も、発生とともに解決してくれそうです。

それでも、ひょっとしたら、古風に地道に、物事を体系的に整理して、問題に対処したいという希少な学生さんのために、ちょっとヒントを記しておきます。

発声

プレゼンテーションでは、声を使う。声は重要です。欧米で著名なSF(空想科学小説:Science Fiction )に、フランク ハーバート(Frank Herbert)のデューン/砂の惑星(Dune:1965, 映画版: 1984, 近日リメイク化予定)という作品がありますが、この中でも、声(voice)が大きな役割を担っています。

発声の要素と効果

プレゼンテーションで重要というからには、その関係性を明確にするには聞き手への効果が重要です。

・無意識で話が頭に入ってくる

・ポジティブさを感じる

・会話の場が明るく感じる

・場の進行がスムースになる

前者は本来の目的に即したもの、後者は、声の効果を利用するもの、です。

効果の発生を分析することで、要素が明確になります。

・無意識で話が頭に入ってくる

     滑舌よく言葉が明確

     抑揚のある音でポイントに注視(聴)できる

・ポジティブさを感じる

     高めの声は聡明さや快活をイメージ

     

要素に対して、そのメカニズムを調べることで、対策が決定できます。

・滑舌は発声を担う口腔の形状コントロール。口の周りの筋肉トレーニング。

      筋肉を鍛えるということは、トレーニングの日常化がもっとも楽です。一番は、人と話す機会を増やすこと。もちろん、その機会の中で自分がしゃべることです。話す機会は、プレゼンテーションなので、結局はプレゼンテーションの練習をする、ということになります。

口の周りには、外と内があります。発声には、外の口の形と中の舌の動きです。どちらも、大きく素早く動かせる能力が必要と思われます。

外の動きは、母音、すなわち、ア、エ、イ、ウ、オ、です。あとはパ行。

中の動きは、カ、タ、のような短い音、サ行、ザ行、ダ行、ラ行。

特に口の動きのポイントは、オーバーアクションです。アゴが外れるくらいに「あーっ」、思いっきり嫌いな子に向かっていった「いーーっ」、思いっきりキスしてほしいチュ「うーーっ」、みんなで不満を訴えた「えーーっ」、お腹の底から「おーーっ」。大きな口で話すことで、表情も豊かになります。舌は、意識して口の中で複雑に動かして見ましょう。

滑舌は、口と舌の動きを意識して、いろんな早口言葉を実際に声を出して練習することです。早口言葉もまずは一読して、意味と発声に観点から、区切りを見つけて区分ごとにしっかり発声して見ましょう。そうすれば、たとえ早口でも聞き取りにくい、ということもなくなります。もちろん、進行が早すぎると、聞き手の理解が追いつかなくなるので、配慮が必要です。

抑揚は、自分で意識して変えていく必要があります。

大阪らしい例えを出せば、お笑い芸人、漫才師のようなプロの方を観察して見ましょう。注目点、一番参考になるのは、第一声。ベテラン、トップの人たちと、まだ大当たりしてない人たちを比較分析して見ましょう。舞台でもそうですが、テレビ番組コーナーの第一声を比べると顕著かもしれません。自分の思っている声の高さよりも、もう気持ち突き抜けた高い声で始めて見てはいかがでしょうか。実際に面接でそこまで出すかは別として、声を出す余裕を鍛えておくべきです。その声がなめらかに出ないのは、緊張感も影響するかもしれません。まずは、高い声を発声できる能力を身につけましょう。

抑揚は、これもまた大阪らしい話ですが、もともと関西弁は基本的には抑揚は大きい言葉のように思います。もっとも、言語進化論では、より省力化して発声するようになるというお話もあるようで、いまや関西弁もだんだんおとなしくなってきているようです。つまり、抑揚をつけて話をすることは、結構、エネルギーがいることということです。ゲーム世代、バーチャル世代で体幹や循環器系統が昔のように鍛えられていない今時の学生さんには、非効率的な発声法なんて、理解も得られず、結構敷居が高いかもしれませんね。循環器は、肺活量、横隔膜やその周辺の筋力が影響します。連続的になめらかにしゃべるためには、容量の大きな肺と、それをできるだけ短時間で満たす横隔膜の動きです。ヒッ、と短く吸って、フ~~と長く吐きつづける。ラマーズ法でも日々の練習が必要ですからね。

日々のトレーニングといえば、姿勢も重要と思います。廊下を歩く時でも、しっかりと背筋を伸ばす。胸を張る。両肩を後ろに引くと、自然に脛骨が正しくしなります。少し首を後ろに引き、上がったアゴを引き下げましょう。さらに両肩先を下に引き下げる。肺も拡がり呼吸も楽になって、肩こりも治ります。呼吸が楽になったと感じませんか。きっと発声にも効果が出るはずです。

抑揚には、もう1つの観点が必要です。せっかく発声能力を身につけても、適切に利用できなければ意味がありません。自分の話す内容を理解して、そのイントネーションをアレンジするスキルが必要です。淡々と話す人は、はじめはしっかりと計画し、練習してから話すようにしましょう。慣れてくれば、あるいは、プレゼンテーションの組み立てを考えるときに同時に、その作業ができるようになります。さらに慣れれば、普通の会話でも、即興で対応が可能になります。そこまでくれば、プレゼンテーションに、自分のスタイルが確立していることでしょう。あとは、スタイルを調整するだけです。

抑揚の身近な実践は、兄弟や親戚に3歳から10歳くらいの子がいたら、その子と遊んで見ましょう。よってくるようになったら、いい印象です。ネコを相手にしてみましょう。ネコが寄ってきたら、いい印象です。ネコナデゴエです。子育てするときに、子供が懐かないで困っている人は、声のトーンを思いっきりあげるようにして見ましょう。

プレゼンテーションでは、すこし高いトーンで話す。ときには、グッと低い声も使う。高い声と低い声のコンビネイションで、思いっきりギャップを作って利用する。高低だけではなく、強弱も利用する。大きい声の時は少しゆっくりしゃべる。聞き手の目を観察していれば、発声の力で、場を支配する、コントロールする、そういう実感も体験できるはずです。そんな観点もおもしろいと思いませんか。

そんなスキルを安定して発揮するためには緊張を解く必要があります。

誰でもいざ発表となれば緊張が高まるものです。問題は、始まって、できれは開始前に、どれだけ短時間で自分のスタイルに持っていけるかどうかです。自由な発声をできる環境としての、スタイル、ポーズ、シーケンス、ルーティング。そういうことにも少し考慮すれば、プレゼンテーション能力がきっと改善されると思います。

プレゼンテーションもまた、工学的手法の適用によって、自ら探求することができていたでしょうか。