機械工学

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機械工学の基本

機械工学の基本知識、必須知識とはいったいなんでしょう。

機械には、機械であるための三要素があることは講義で学習します。
すなわち、複数の部品が組み合わさり、機能を持つように、運動することです。

実は、現在ではなくなってしまい、もはや廃語となった機械の基本を表した学問がありました。

それは「機構学」です。

本学の機械系学類の中には、すでに科目として機構学は存在しません。また、科目の内部を見ても、力学科目と、その応用分野の工学と称した理論科目しかありません。機械工学課程では、動くはずの機械ですが、「機械運動論」のような運動を扱う科目もありません。唯一の動きは、「振動」と「流体の移動」です。

そのような中で、ますます機械から遠ざかっている学生は、機械をどのように認識しているのでしょうか。こたえは、「認識はしない」、です。
そのエビデンスとして、運動する機械の基本知識である機構に関して、リンクやクランク、ピストン、カム、等々の用語は知識として定着はしていません。数式とそれを用いた力学を身につけておけば、機械工学は対応できる、というコンセプトのようです。これは、本学の独自のものではなく、文科省の指導の一環のようです。

このようなコンセプトは、学生にとってどのような効果を与えているのでしょう。機械に関する知識も具体的な興味もなく、機械工学という専門分野によくわからないまま入ってきたが、いきなり研究の主催とその社会態意義に関する話を聞かされたものの、その後は数学と力学に明け暮れて、機械が何なのかわからないまま四回生を迎えます。そして、いきなり多様化した最先端の研究に携わりながら、自らの力で機械工学(?)を学ぶことになります。どうも、多くの卒業生は、機械工学の全体像もあやふやのまま、最先端の研究を少しかじって、機械工学技術者として旅立っていく学生も少なくないようです。

さて、機構学に戻ります。
機構は、英語で、mechanism といいます。機械がmachineで、その要素がmachinary ですので、機械に関わる言葉であることがわかります。ちなみに、力学はmechanics です。もはや機構という言葉は、行政などの組織に使われる程度で、世間では、本来の意味で使われている事例を聞くことがなくなってしまったのではないでしょうか。

機構の種類は、非常に多くのものがあります。かつては、特許の多くが、新しい機構だった時代もありました。そんな機構は、本来の機械の重要要素でしたが、現代の動かない最先端の機械ではあまり注目されなくなりました、特に大学では。動く機械について、まず、基本となる座標軸を1本 考えれば、その運動の種類は2種類が考えられます。直動と回転です。それぞれ、三軸が考えられますので、基本的な動く方向は、2種3軸の6通りです。

このことがわからないと、力学を修得しても設計はできないのでは?と思います。材料力学を勉強しても構造力学はわからないし、応力は計算できても強度設計はできない。ま、機構がわからなければそんな設計の場にいることもないので何にも困らないかもしれません。

と、いうことは・・・

機械工学の基本はやっぱり数学と力学なのかぁ。