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機械系技術者の将来像に思う

 2017年10月20日

 今日は「機械工学設計製図演習」の授業で、座学が終了し初めての演習がありました。その冒頭で、担当グループの学生(約12名)に挙手確認したところ、迷いなく、設計製図には興味がなく この授業に関してはとりあえず単位が取れればよい、と挙手した学生さんが100%でした。

かれらは、技術立国日本の将来のため、「数学と物理を利用して、図面(設計、製造)とは関わらずに機械工学技術者になる」、という崇高な理念、気高き目標と強い意志を持っているそうです。オーソドックな設計作業の中でよい機械を実現する、という考えは もうすっかり古く時代遅れになってしまったようです。
本学機械系の教授陣を始め、ほとんどの教員も数学と力学が重要だと話していますし、とりわけ民間製造業企業では大卒者にはもはや機械設計をさせるという要望はないそうです。

そのような社会情勢を反映させて、前回の座学では、「予習をしてくるように」、と指示を出したにも関わらず、設計製図(はめあいなど公差のセクションなど)の予習をしてきた学生は1割にも満たなかったです。
こういうことを言うと、指導力がないとよく非難されます。しかし、成績を盾にとって脅迫したり、個別に呼び出して恫喝するようなことができないものにとっては、いっぱしの大人に、日本語で語りかける以外の術がわかりません。まぁ、これを指導力がない、というのでしょう。指導力不足で恥ずかしい限りです。

さて、一方で、私の周辺の一部のメーカー所属の方々には、機械系の大卒者を、10年かけて設計ができるように育てている、というような話も聞きます。

いったいどっちが実体なのだろう・・・

ま、いずれにしても、本学機械工学科の責任ある運営陣と学生たち、そして大手企業が、数学と物理の高度な能力を持って,未来への高度な技術に対応していくと言うのだから日本の未来は問題はないのでしょう。

企業の採用担当部門も、多様化した、いえ、数学物理に特化した機械工学技術者の卵を、間違っても本人の希望に添わないオーソドックスな設計部門に配属してあげないでください。最近話題の広告代理店D社や電機メーカーM社のようなミスマッチによる事件に発展しかねません。物理数学に特化する技術者向けに、面接、採用時のために、今よりもう少し詳細で明確な採用基準が必要なのかもしれません。

そうなら、見識ある大学教員の大多数の意見にも耳を傾けて、文科省ももうそろそろ、現代社会の要請に合わせ、現場でも苦労している「機械設計製図演習」をいち早く機械工学科の必修科目や選択必修から削除すればいいのに、と考えてしまいます。必要を感じていない学生に、その学生のレベルに合わせた評価をするくらいなら、とっとと廃止してほしいものです。学生にとって大きな時間の無駄です。精神的な迫害、暴力です、

さぁ、これから学生、教員の双方にとって、必要性(ニーズ)を失った 科目や知識に関する、とても苦痛で長い時間が始まります。大人数の どこから指摘してよいのか困惑する大量の図面と計算書のチェック、がんばらなければいけません。

今年も暮れてきましたね、、、、